第6章 平和

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創地が捜査第一課に配属された時には、既に腐りきったヒーロー達が蔓延している状況だった。 緊急要請がかかっても駆け付けるより先に言い訳探しをし始める上司。 下手に動けば何されるかわからないと被害者より周りの目を気にする先輩達。 創地が抱いていた憧れが、夢物語だと知るのに時間はかからなかった。 しかし、創地は今の新指と同様、自身が望むヒーロー像を追い続けた。 (アイツ等みたいな名ばかりのヒーローになってたまるか…!) ただその思いだけで、彼はひたむきに努力し続け、結果を出していった。 だが、その行為はプライドの高い第一のヒーローにとって、目障り以外何でもなかった。 「もうその辺にしとけ。 出る杭は打たれんだから。 それに、その連続強盗犯、お前の事件じゃないはずだぞ。」 創地がエースヒーローになった頃、当時の先輩であった鷲見は、担当している事件だけではなく、捜査第一課内の事件全てを調べる創地を止めようとしていた。 「どうせ他のヒーローに任せてたら、また犠牲者が出るんです。 俺はそんな奴等と一緒にされたくありません。」 「お前だけならまだしも、お前の事慕ってる風間も居るんだぞ? 姑息な真似する奴等が多いんだから、後輩が標的にされたらどうすんだ? お前が間違ってるとは言わねーけど、程々にしとけ。」 忠告を聞かない創地に、鷲見は軽く肩を叩きながら釘を刺す事しかできなかった。
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