第6章 平和

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「お前等のせいだ!!!」 喪失状態の時、背後からそう泣き叫ぶ少女の声でやっと創地は我に返った。 振り向くと、救急隊員に取り押さえられている10歳前後の少女が歪んだ顔で涙を流しながら警察官達を睨んでいた。 恐らく、風呂場に避難し、通報した子供だろう。 「お前等が早く来なかったせいだ!!! 父さんと母さんを返して!!!返せえぇ!!!」 そう叫びながら、最後、少女は創地と目が合った。 その子供とは思えないような、憎しみと怒りが滲んだ表情が、創地の頭に焼き付き離れなくなってしまった。
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