65人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
第2章 ヒーローの世界
「ぎゃはは!!!生きてて良かったな!!!自己犠牲君!!!」
課に戻って聞こえた第一声は、チャラ男の声だった。
「聞いたぞ!お前のガッツ!そこら辺のヒーローよりヒーローっぽいよ!
瞬殺だったけど!」
この時点で新指は、少女に対して恐怖心を、チャラ男に対しては苛立ちを覚えた。
「お疲れ様、急で申し訳なかったわ。混乱したでしょう?」
「…はい。色々と…」
「…理不尽って思ってるかもしれないけど、貴方には説明するより、見せた方が早いと思ってね。
綺麗事だけで平和は守れないって事を。
私達は必要悪なのよ。」
情野の言った言葉に、新指自身が理想としていたヒーローとの差を感じた。
(きっと、他の課のヒーローは、僕の理想としているヒーローが居るはずだ…
この課のやり方は…ヒーローのやり方じゃない…)
新指は小さい頃から正義感だけは人一倍だった。
殴られる痛み、馬鹿にされる悔しさ、期待されない寂しさ等を理解していたからだ。
そして、経験した苦痛を他人に味合わす事は絶対にしたくなかった。
それが新指自身の正義だった。
「現実逃避してる暇は無いからな。
報告書早く書け。
言っとくが、この事件の手柄は違う課の物になるから、書く時は気をつけろ。」
「え?どういうことですか?」
静かな口調で渋めな男が話し出した。
最初のコメントを投稿しよう!