第2章 ヒーローの世界

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第2章 ヒーローの世界

「ぎゃはは!!!生きてて良かったな!!!自己犠牲君!!!」 課に戻って聞こえた第一声は、チャラ男の声だった。 「聞いたぞ!お前のガッツ!そこら辺のヒーローよりヒーローっぽいよ! 瞬殺だったけど!」 この時点で新指は、少女に対して恐怖心を、チャラ男に対しては苛立ちを覚えた。 「お疲れ様、急で申し訳なかったわ。混乱したでしょう?」 「…はい。色々と…」 「…理不尽って思ってるかもしれないけど、貴方には説明するより、見せた方が早いと思ってね。 綺麗事だけで平和は守れないって事を。 私達は必要悪なのよ。」 情野の言った言葉に、新指自身が理想としていたヒーローとの差を感じた。 (きっと、他の課のヒーローは、僕の理想としているヒーローが居るはずだ… この課のやり方は…ヒーローのやり方じゃない…) 新指は小さい頃から正義感だけは人一倍だった。 殴られる痛み、馬鹿にされる悔しさ、期待されない寂しさ等を理解していたからだ。 そして、経験した苦痛を他人に味合わす事は絶対にしたくなかった。 それが新指自身の正義だった。 「現実逃避してる暇は無いからな。 報告書早く書け。 言っとくが、この事件の手柄は違う課の物になるから、書く時は気をつけろ。」 「え?どういうことですか?」 静かな口調で渋めな男が話し出した。
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