第4章 愛情

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第4章 愛情

1.複雑 「新指君…貴方の指…元に戻ったの? 治療無しに?」 笠無襲撃の翌日、段ボールを運ぶ新指の指をマジマジと見る情野。 「そうなんですよ。 指が第二関節まで消されても伸ばせたので、もしかして…て伸ばしながら変形させたら、作れちゃいました。新しい指。」 「痛くないの?」 「はい。昨日は結構痛かったですけど、今日は大丈夫です。」 心配そうに見る情野に、新指はあっけらかんと話した。 何故、新指が段ボールを運んでいるかと言うと、昨日の一件で保護課の場所が移転する事になったのだ。 それも、警視庁とは全く関係のないビルの一室。 お世辞にも綺麗とも、広いとも、日当たりが良いとも言えない。 所謂、オンボロビルの一室だ。 「カモフラージュの邪険扱いじゃなかったっけ? これじゃ本格的な左遷じゃねーかよ。」 陽炎は不機嫌そうに荷物をまとめる。 「仕方ないだろ。 お前の能力のせいでこの部屋はボロボロだ。 修復費、機材の調達費、その他諸々金がかかる。 それに、このままじゃ他の課にも被害が出るかもしれん。 意味のある左遷だ。」 「俺の能力使わせたの創地さんだろ! 俺だけのせいみたいな言い方すんな! それと新指! 指治ってんだったら俺の荷物も運べ! 俺はまだ怪我人だ!」
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