第二話

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第二話

 当時海草夏子は十六才だった。そのまま学校に行っていれば高校を卒業して今頃はワカメ取りのあまちゃんになっていたかもしれない。  しかし彼女は学校に馴染めなかった。いやこのど田舎自体に馴染めなかったのだ。彼女は出かけるときはいつもワカメくっつけていた。彼女はそれが当たり前だと思っていたのだ。なぜなら彼女は生まれたときからフルマンで、いつもワカメをくっつけていたからだ。何故なの!何でみんな私を変人扱いするのよ!やっぱり私超可愛いからなの?ワカメくっつけてるセンスが新し過ぎてみんな理解出来ないのね。  彼女はいつも泣いていた。自分がなかなか認められない事にいつも悔しい思いをしていた。  そんな彼女に両親は毎日ワカメを大量に食わせてあげた。チャンとよく噛んで食べるのよ。残したら神様のバチが当たるんだから。早くあっちに行けるように……。  しかし彼女は生き残った。異常までの生命力で、ワカメを食べつくしながら生きていた。両親がワカメを出しきれないほどにムシャムシャ食った。ワカメを飛ばしながら食べていたのだ。  学校ではいつも孤独だった。ワカメを食べまくる彼女に誰も近付かなかったのだ。しかも毎日フルマンだ。デブチンで歩けないからいつも転がって移動する。そんな彼女をいぢめっこ達は、からかいながら背中やお尻をワカメをムチがわりにして叩いていぢめていた。彼女はある日とうとう怒り狂い、いぢめっこ達にワカメを投げつけた。果てしなく投げつける!学校は大混乱だった。 
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