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恫喝、密着。
「エミリア、いい気になるなよ。お前はあくまでオレの婚約者だ。他の男に色目使ってんじゃねぇよ…ノアに近付いてみろ、お前をすぐに消してやるからな!!」
ギルバートにものすごい形相で睨まれて、思わず息を飲み込んだ。
は………はぁあああ!?
ギルバート、テメェ……。
一体、何様のつもりだ!?
お前みたいな奴はなぁ、エミリアじゃなくても絶ッッ対に他の女でも無理だから!!
ワナワナと拳を握り締めて怒りを抑えようとするが、コイツの余計なひと言が……また全て台無しにする。
「お前みたいな、ふしだらな女には無理か。皆に嫌われていて、顔と体しか取り柄がないから…な?」
ニヤリと笑いながら挑発するギルバートに我慢が出来なくて。
エミリアをバカにされた怒りが頂点に達した俺は、頭の中でプチンと何かが切れた音がした。
「……ギルバート!!テメェ、許さねぇ!!エミリアに謝れッ!!」
怒りで周囲が見えなくなった俺はギルバートに殴りかかろうと、勢いよく走り寄って胸倉を掴みかかった。
「寄せ、エミリアッ!!」
俺を叱咤する銀髪の声すら聞こえなくて。
怒りに身を任せた俺はギルバートに睨みつけて拳を振り上げた。
が。
先にギルバートの手が振り上げた俺の拳を受け止めると、その手を引き上げられた瞬間に信じられない事が起こった。
「ゃああんっ!!」
涼しい顔で俺を見下ろすギルバートの空いている手が……エミリアの胸に触れていて。
その衝撃にビクンと体が跳ねて、体の奥から電流が一気に突き抜けていく。
いきなり胸を揉まれた事や、俺の口からエミリアの喘ぎ声が漏れた事に…。
思わず、思考が停止する。
あ……。
ヤバイ……。
エミリアの感じた声、クソ可愛い……。
じゃなくて……!!
コイツ、勝手にエミリアの身体に触るんじゃねーよ!!
まだ頭の中が「エミリア」と「俺」で混乱していて、どっちがどっちだか、分からなくなる。
…まるで漫画みたいだよな……。
体は子供、頭脳は大人、だっけ?
俺の場合は体は女、頭脳は男だからタチが悪いんだけど。
ギルバートにいいようにされてしまってるのが悔しくて、つい変なプライドが表に出てきてしまう。
体はエミリアなのに…。
すまない、エミリア…(泣)
また、やらかしてしまった…。
「離せよっ、バカ!!スケベ!変態っ!!」
キーキー喚きながら暴れると首筋にギルバートの唇が触れてビクンとまた体が強張った。
「うるせー女だな、少し静かにしろ…っ、…イテッ!!」
密着して取り抑えられ、身動き出来ない俺に耳元で呆れた声でバカにするギルバートにムカッとして。
足を思いっきり踏みつけた。
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