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状況確認。
ええっと……。
今の俺の状況を整理してみよう…。
前世の俺→死ぬ。
現世の俺→性別、なぜか『女』になる。
そして、この世界で転生した身体の持ち主の名は『エミリア』といって、どこかのお嬢様らしい。
緑髪のオッサンはエミリアの親父ってとこだろうな…。娘って言ってたし。
そしてあの銀髪男とエミリアの関係性はよく分からんが、敵意を感じる事から仲は良くなさそうだ。
それとピンク髪の可愛いメイドのマリア。
エミリアの世話係だろう。
お嬢様って、言ってたし。
とりあえず、人間関係は軽く理解した。
そしてマリアがさっき話した内容に気になる事が2つあった。
その1つは、ギルバートって名前の男。
エミリアと婚約パーティーがどうとか…。
名前の後に『殿下』と付いていたから、かなり高貴な身分でエミリアの恋人らしい?
うーん、今の『エミリア』は俺なんだが…。
『エミリア』や緑髪のオッサンには悪いが、俺は男を受け入れる気はない。
なので婚約パーティー前にギルバートって奴に他に気になる奴がいるとでも適当に話して婚約破棄するしかないよな……。
そして……一番気になった事。
それは、俺が『エミリア』になる前、エミリアは毒を飲んだらしい事だ。
一体どういうことだ?
毒を盛られたって、フツーじゃない。
しかも、俺が『エミリア』になっているという事は本物の『エミリア』はもう、この世には…………。
そうなると俺、ピンチなのでは…?
毒殺されそうになるって…エミリア、お前…誰かに恨まれているのか……?
転生したばかりの俺にいきなりヘビーな状況が続いて頭が痛くなる。
まっ……なんとかなるっしょ。
深く考えたって俺にはこれ以上の情報がない。ないなら俺なりにこの世界を知り、そして『エミリア』として足掻いて生き抜いてやる。
とりあえず。
目の前の大きな目標が決まると肩の荷が降りて力が抜けた。
「エ、エミリアお嬢様!!」
クラッと力が抜けてふらつく俺をマリアが慌てて支えた。
ヤバイ…グッジョブだ、俺……。
マリアの細い腕と柔らかな胸に支えられ、顔が真っ赤に染まっていく。
「ご、ごめん、マリア!!」
マリアの顔が近くにあって動揺した俺は病み上がりなのにその場を離れようとして体がぐらつく。
右手でベッドに手をつこうとしたものの、病み上がりのエミリアの身体は思ったよりも病弱で力が入らず。
グラッと揺れて、体がベッドから離れてしまった。
ヤベッ!!ベッドから落ちる!!
次に来る衝撃に備え、俺はギュッと目をつぶると「きゃっ!!」と隣にいたマリアが小さく悲鳴を上げた。
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