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夢を見た。 6歳だったころの、あたし。 無駄に素直だった、あの頃。 「今何時…」 遮光カーテンを締め切った部屋は、日の光が入らなくて時間の感覚を狂わせる。 時計を見ると、14時を過ぎた所だった。 あたしの名前は、橘 夕依(たちばな ゆい)。 今日、中学3年生になった、らしい。 らしい、という言い方をするのは、単にあたしが不登校で学校に行ってなくて、実感がないから。 中学2年の12月から学校には行ってない。行ってないうちに、学年が勝手にひとつあがっていた。 本当なら今日だって学校があるんだから行かないとだけど、 …行きたくないから、行かない。 いや、 今日は行かなくてもいい正式な理由がある。 昨日の夜、祖母が死んだ。 だから、今日はお通夜があるんだって。 あたしは、出ないけど。
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