267人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
「しーちゃん、お疲れさま!」
明日香とテントに向かう途中、南が待っていてくれた。
明日香は先にテントへ。
『南、お疲れ…。』
「しーちゃん、ヤバいくらい格好良かったよ!一気にテンション上がっちゃったし…。わたし今日、応援に来てよかった。」
『南の声、聞こえたよ。その、えーと…ありがとう。力出た…。』
「うん…。」
腕を絡ませる南。
わたしは、それをさりげなく外して、南の右手を握った。
そして、恋人繋ぎにして歩き出した。
「えっ!しーちゃん…?」
『何…?』
「だって、手…いいの?人、いっぱいいるよ。」
『いいの。』
繋いだ手をギュッとした。
「ありがとう、しーちゃん。」
『何が?』
「ううん、何でもない…。」
南も、強く握り返してきた。
その横顔は、今まで見たことがないくらい、嬉しそうでキラキラしていて…。
わたしは、何だか胸がいっぱいになった。
“これからも、わたしはわたしのやり方で、気持ちを伝えていこう。
たとえそれが南にとって、もどかしくて、物足りないものだったとしても…。”
最初のコメントを投稿しよう!