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昨年8月、夏休み中。
「今日も暑いねー、南。」
「うん…。体育館のドアと窓全開でも、全然関係ないもんね。」
お盆休み前の部活の休憩時間。
わたしは、校庭に面したテニス部側のドアの縁に座り、同じバスケ部の歩美(あゆみ)と話していた。
「見て、歩美…。この炎天下の中、陸上部も頑張るよね。」
「ね…。照り返し凄そうだよね。」
その時、わたしの目線の先に飛び込んできたのは……
「あの人、さっきからずっと一人で、スタートダッシュの練習してる…。」
「えっ、誰々?どの人…?」
中学校の校庭から階段を上がり、数メートル上がったところにある、小学校の校庭。
その校庭の隅で、一人黙々と、スタート練習を繰り返す長身の人。
それが、忍先輩。
しーちゃんだった。
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