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フリゲリーとロクホートは小人族と呼ばれるエルデバ族の男に指を差されながら大声で、
「ああああああーーーーーーー!!」
と言われている状況だ。とにかくこの小人族を黙らせる必要があると思い、ロクホートはその小人族の男の顔をぎゅうと摘まんで声を出すのを辞めさせると、路地裏へとその状態のまま連れて行った。
「……さて、ここなら大丈夫かな?君はフリゲリーに何されたんだい?」
「何もあるか!お前の所為で大量の借金を抱えたんだぞ!必死で逃げて来た奴に何か言う事は無いのか!!」
そう言う事を言われて思い出したかのようにフリゲリーは頭を抱えた。
「あーあの時のか、お前真に受けて商売したんだろ、上手くいくわけないだろう?なんで止めなかった?」
「お前が上手くいくって言ったからだろうが!!」
そんな風に言い合う二人に、ロクホートが待ったをかける。
まず事の顛末を聞かなければ意味が無いと思い、事情を聴くことにした。
先にロクホートがフリゲリーに対して、
「……何かしたの?」
そう聞いてみる。けれども、
「色々やっているからな、解らないな」
とフリゲリーは肩を
「お前がっ!お前が来た所為で!!よくもー!!」
「………好かれてるね」
「そう見えるお前が不思議でならないんだが?」
小人族がフリゲリーに殴りかかろうとするのを、フリゲリーはその頭を押さえて防いでいる。
「小人君小人君、フリゲリーに何されたのさ?それ聞かないと僕達何にも解らないんだけど」
「そうだ、お前さんは覚えているかもしれんが、俺の記憶には欠片も残っていないぞ」
それに不満そうに頬を膨らませると、
「お前が!うちの町をめちゃくちゃにしたんだ!」
「どういう事?何か具体的に行って貰ってもいいかい?」
ロクホートがそう言うと、小人族の男はぽつりぽつりと話し出した。
曰く、フリゲリーが彼の町に傭兵、というより用心棒として数人の傭兵がやって来た。
そこまでは良かった、近隣の町で盗賊が町を襲っているという事実がある為、小人族だけのこの小さな町では対処が出来ないからだ。
そうして数日間は傭兵達も町の周囲を警戒したり、町の住人と交流したりとしている内に打ち解けていった。
だがそれ数日たってからだ、傭兵の一人が盗賊と画策して村を襲いに来た。
フリゲリーは町のヒトの護衛で近くの街まで行っていたので不在だった。
町は盗賊達に荒らされ蹂躙され、雇っていた傭兵達も気が付けば居なくなっていた。
その後自分は家族を置いて逃げる様に街へと走り出し、命からがら生き延びたのだった。
「あの時お前が居れば何とかなったんだ!お前の所為だ!」
「………ああ!そういえばあったなそんな事」
そんな事も日常茶飯事の傭兵にとっては、似た様な事が何度もあるのだ。かく言うロクホートもそういった経験がある。
「………………それってフリゲリー悪くないじゃない」
「いーや!フリゲリーが居れば撃退出来た筈だ!何でお前は居なかったんだ!!」
「そう言われてもな……アレは町のヒトに頼まれて行ったのであって俺の責任は小さいぞ、それに襲われた後の町の再建にも携わっているし……一概に俺が悪いとは言えないはずだが?というかあの時お前町に居なかっただろ?」
そう首を傾げて言うフリゲリーに、ロクホートが、
「逃げて町の再建も手伝ってない君に、フリゲリーを責める理由なんて無いと思うけど?」
そうロクホートが言うと、ずりっと後ろ足を踏み出したかと思うと、背中を向けて逃げだした。それをフリゲリーの長い手が背負った鞄を掴んで離そうとしない。
「お前さんから吹っ掛けて来たんなよ、良いよな?少しくらい?」
「え!?え!?えええ!?」
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