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 次にやってきた電車に乗り込んで、新大阪駅で降りた私は地下道から階段を駆け上がってみどりの窓口へと入っていった。意外なほど人は少なく、待ち時間を数えるより先に窓口のオペレータが私に向けて案内する。  「のぞみ東京行き、次の便で。指定席の窓側空いてます?」  「窓側ですね。禁煙でよろしいですか」  頷いた私に「一万三千八百七十円です」とオペレータは告げて、電子表示にもアラビア数字が並んで映る。安くはないけど社会人の身としては致命的な額ではない。颯爽とリュックから長財布を取り出した私は、しかし札入れを見てあんぐりと口を開いて思考を停止させた。  「……クレカでもいいですか」  渡したクレジットカードをリーダに通して暗証番号を入力する。程なくして渋くなったオペレータの表情がその結果を物語る。  今月の長期出張をクレカで一括払いしたことがこんな形で仇となった。キャッシュカードの残高は見たくもない。そして、今月の給料日はまだまだ遠い。  やってもうたわ、私。
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