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百万回目の魂が行き着いた場所
どうやら私は死んだらしい。
疑問形なのは、未だその実感が湧かないからだ。
今の私は、この場所がどういう所なのか、ただ呆然と眺めているだけだ。
見渡す限りの雲海。
雲海のあちこちに見える四阿。
四阿は城や神殿のようなものもあれば、こじんまりとした茶室のようなものまで、色も形も時代も文化もごちゃまぜだ。
まるで万博のパビリオンを眺めているようだと心無しに思う。
空は高い。
やたらと澄み切った青に足下は白い雲海。
膝下くらいまで雲の海に包まれている。その割には、寒くない。雲は水滴の塊だからこんなところに立っていたら寒くなるはずだけれど、でも足下は濡れていない。
逆にこの雲は暖かい気がする。
例えるならば床暖だ。雲の床暖。
エコだね。それ以前にファンタジーだね。
ファンタジー……?
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