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エルフ村はとても小規模で、まさに村。人口数百人くらいかなあ。
家はツリーハウスというよりは木の洞そのまま使っているみたいで、木の中で生活しているのが凄く興味深い。大きな木の中に居間や台所などの水回りと、他にも部屋が三つか四つはあるね…。木は確かに大きいけれど、さすがにこれだけの居住区域は生み出せないだろう。どうやってるんだ?と疑問には思うが、どうやって部屋数増やしてるのか今の私には分からなかった。
私の部屋…両親が用意してくれたであろうその部屋は、清潔感があって暖かい。
そのまま寝台に寝かせられる。みのむし状態から脱却だ。
「熱は無いようね…」
「ママ……」
で、合ってるよね。子供だし、まだママ呼びでいいよね。
私は額コツンして熱を計ってくれているゆるふわ系女性エルフへ抱きついた。
ハグ大好き。前世の家族ともよくしてた。
「……ただいま」
「……おかえりなさい、リリィ」
ぎゅっと抱きしめてくれるママの匂いがとっても落ち着く。
やっぱりこの桃髪エルフがお母さんだね。しっくりくるもの。
胸ナイ同士、ぴったりくっつくともいう。
…いや、私は成長途中だ。
パパもハグしたほうがいいかな?そっと父親っぽい薄紫髪のエルフを窺えば、こちらに来るところだった。近くに来たところでママと一緒に抱擁される。
「パパ…ただいまなの……」
「ああ、よく頑張ったなリリエイラ…」
おお、やはりお父さんだね。私の頑張り…正確にはエルフ少女のリリエイラちゃんが、遠出して病気までしたのに無事に帰って来たことを褒めてくれた。
私は嬉しくてパパにもぎゅっとハグをする。
「おうち帰れて嬉しい。…あの、連れてきてくれてありがとう」
抱き合う家族感動の再会シーンを、口も挟まず見守っててくれる人が二人。
白髪お兄さんと金髪エルフ男性にも、御礼を言う。
こういうことはきちんとしないとね。
「気にしないで。無理を承知で君を連れ出した責任は、あちら側にとらせるから。ゆっくり休んで静養してね、リリィ」
は。笑顔の裏でとんでもないこと言ったよ金髪エルフ。あちら側ってあの気の弱そうな糸目こけしさんに…ってことだろうなあ。
この金髪エルフ、スター性はないがスターのマネージャー属性のようで。
サポートさせたら有能そうな人、いやエルフである。
「……………………」
「なんか言いなよ君も」
金髪エルフに水を向けられた白髪お兄さん。髪に隠れて目が見えないから表情が読めない。でもたとえ目が見えたとしても、あの漆黒の瞳には何も映ってない気がするのは気のせいだろうか。
「…まあ、会えて良かったな」
「そのままじゃないか」
そのままだねえ。思った以上に白髪お兄さんは感情の起伏に乏しい人のようだ。
「じゃあねカドベル、サニータ」
「ああシャドラン、今回は世話になった。村長にも後で挨拶に行くよ」
「そうね。ありがとう伯父様。おじい様によろしく」
両親と金髪エルフが挨拶を交わして二人を見送る。
そうか。金髪エルフはシャドランて名前か。
しかもママの伯父さんかい。私からだと大伯父さんだね。
別れ際、白髪お兄さんが振り返って視線を合わせてくれたのがちょっと嬉しかった。白髪に隠れてるけど分かるよ。私に興味持ってくれたんだね。
なるべくにこっと笑ってバイバイ手を振った。
やつれた顔ですみません。回復したら御礼しますね。
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