リリエイラ12歳カヌレの香り

2/6
433人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
さて、病後の回復は順調だった。 私の魂が入った時点で病は吹っ飛んでしまったらしく、やつれ顔も直ぐに戻って良かった良かった。 このエルフ少女、リリエイラ・ブロドウェンは産まれた時から病弱だったらしい。 七歳のあの日、無理を押して王宮を訪れたのは七歳のお祝いに王様から呼ばれたからだ。エルフは皆、三歳と七歳の節目に成長のお祝いをするんだそうで。三歳の時に病弱すぎて祝えなかったので七歳はなんとしてでも!と、王様からも強く言われてしまい無理して参内したそうな。 結果、死亡だ。 私の魂が入らなかったら、あの場でリリエイラちゃんの肉体は滅びてた。元から病弱な上、王宮までの道のりは海路を船で、陸路は馬車というハードモード。王宮にたどり着いたその日に倒れ、どんどん衰弱していって合併症を引き起こし死に至ったようである。 こんな事情を聞けば、そりゃああの王様こけし顔をぶん殴りたくもなるよなあ。 そう、あのこけし、王様だった。茶髪の優しげな女性が第一王妃様だ。 なぜ第一なのかというと、あの王様むしろこけしには他にも五人ほどのお妃様がいるのだ。こけしなのに。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!