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竜の爆誕シフォンケーキ風味
フィンブェナフさんの居所が分かったけど、どうやって会うか考えないとなあ。
この島<インスーロ>の中でも、トレアスサッハの家は人間の暮らす地域にある。
"世界樹"を中心とした森の中にエルフは住んでいるのだが、森を一歩でも踏み出せばそこはもう人間の暮らす地域である。
人間とは交流を持っているが、私一人で森の外へ行くのは難しい。
なんせまだ子供なので保護者が許さないのだ。
私は頭を捻る…。
結論。とりあえず森の境界まで行ってみよう。
「お母さーん。お父さんに差し入れ持って行っていい?」
「いいわよ。お父さん喜ぶわね」
フィンブェナフさんとお別れして一週間後、私は差し入れを口実に森の境界まで行ってみる作戦を決行した。
私のお父さんは森の外れにある"勇者の神殿"で司祭をしている。森の境界のすぐ傍だ。司祭は神殿の管理が主な仕事で、朝夕にお勤めをして通常は神殿内を清潔に保つ為に常駐している。常駐する司祭は二人。他にも司祭が何人もいるから、ローテーション組んで一週間交代で勤務しているのだそうだ。
その常駐勤務に今、私のお父さんも就いている。一週間会えないのは寂しいが、帰ってきたら甘やかしてくれる良きパパである。
常駐している時に遊びに行くことは前もあったことなので、お母さんも気軽に許可をくれた。ただし、シャドラン付きで。
「伯父様のとこ寄ってから行くのよ」
厳命された。そこまで危険なこともないと思うんだけどなあ。
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