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〝親子会〟とは、その名の通り“親子にコミュニケーションの場を”と始めた夏のイベントである。このイベントの参加者のほとんどは、小学校からの同級生で、そしてその両親や兄弟、大人8名、子供12名が乗り合わせている。
低学年の頃、親子会と言えば、バスを2台借りての結構な大イベントだった。しかし高学年になるにつれ参加者は減り、ここ4年くらいはお馴染みのメンバーとなっている。
「わあ!?ちょっとなに?そのカメラ……!!」
ミカが見たこともない、古そうなカメラを取り出したのでエリが叫んだ。
「デジカメが見つからなくて、両親の寝室にあったのを持って来ちゃった……」
「それ写るの?」エリは怪訝な顔をする。
「さあ……分かんない」
「意味ないじゃん」
「待ってよ、今調べてるんだから」
ミカは必死になって、カメラを調べている。残数は27枚、試しに1枚撮ってみた。
「撮れたの?」
「さあ、どうかな。デジカメじゃないから、撮れてるかは分からない」
「え~〜」
「……。」
エリの呆れ顔を横目に、ミカはバスの内を見渡す。
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