1368人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ
片岡 幸。
子役から27歳の今まで第一線で活躍する人気俳優。
癖のない髪と鋭い瞳は、夜空のような深く美しい黒。
整った顔立ちが彼の冷酷さを一層際立たせていた。
誰に対してもハッキリ物を言う性格と
人と馴れ合わないスタンスから
周りからはクールな毒舌キャラとして知られている……
「……ということなんですが、片岡さんとしてはこういった世間の評価をどうお思いですかっ？」
「別に。これといって興味もない」
ニコニコと嘘くさい笑みを浮かべる男性記者に素っ気なく答える。
それに相手はうんうん頷くと何やら書き込みをした。
今ので何を書く必要があったんだ？
「しかし最近では、笑顔が素敵な爽やか好青年の役を演じられましたよね。普段の片岡さんとのギャップが話題になりましたが、ご自身演じられて印象に残ったことなどありますか？」
ペラペラと話す記者に溜息を吐きそうになる。
俺がこういった取材の類が嫌いなのは、もともと口数が多い方ではないのと、次々質問攻めされることに辟易するからだ。
印象も何も、当てられた役を読み解き全うするだけ。
客観視をしてみたりはするものの、個人的な意見をあれこれ抱くことはない。
だからこの場合
「特にない」
という結論になる。
最初のコメントを投稿しよう！