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ジッと俺を見つめていた千里だったが、やがてそっと淹れ終わったハーブティを両手で持ち、視線を落とした。
何かを考えてるような様子だが、千里のマイペースさには慣れて来たので声はかけずにハーブティを口に含む。
ほんのりと苦味があるが、鼻から抜けるスパイシー感はやはりいい。
あぁ。そういえばスパイスティーがどうのって言ってたな。
「スパイスティーって、何が必要なんだ?今度買ってくる」
「え?」
話しかけると何かを考え込んでいた千里はきょとんとしたが、次にはハッと我に返る。
「あ、あぁ…、えと、オーソドックスなのはシナモンですね。りんごと相性が良いから、りんごのお菓子をお供にするのがおススメ……って、え?買ってくる?」
「また来る。文句あるか」
「な、ないですないです…!」
顔をブンブンと横に振る千里。
そんな彼の様子に、俺は少し口元を緩めた。
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