スーツ 俺とお前と犯人と~最大級のラブレター~

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「そういえば、ラブレターってもらったことある?」 エーセンパイが聞いてきた。 僕をからかう気満々だ…… 何度も何度もからかわれるのはごめんだ。 僕はわざと「あー、何通かもらったことありますよ」と答えた。 「おまえの世代はSNSか、メールじゃないのか?」 ビー先輩がプロテインを飲みながら口を挟んできた。 ほとんどの人がコーヒーかお茶なのに、朝からプロテイン…… 僕の非難めいた視線を感じたビー先輩は、「おまえも飲め! その骨に筋肉をつけろ」といってきた。 「勘弁してください。ぼく的には細マッチョがいいと思ってトレーニングしてるんですから」 「ほほう。どれ、ちょっと見せてみろ」 ビー先輩は顎を手で触りながら、僕のシャツをまくり上げる。 「あなたたちは、朝から何してるんですか」 エー先輩は呆れていた。 「で、ラブレター、あなたたち本当にもらったことあるんですね。わかりました」 「はい」 僕はエー先輩の問いに答えた。 「お相手とはお付き合いされたんですか」 「いえ、なんというか、そこまで発展しなかったというか……」 僕は口ごもった。 「ビーは?」 「ああ、あります。もちろんです」 ビー先輩は右腕に力こぶを作り、それから両手でハートをつくって胸の前でアピールした。 「そうですか……」 エー先輩はビー先輩のリアクションを無視して、窓際に移動し、ため息をついた。 「実は……これから」 エーセンパイが話そうとすると、捜査二課の受付が騒がしくなった。 エーセンパイは、特別班のドアを開けて、捜査二課に顔を出した。 「何があったんですか?」 山田班長が指をさした。 「あれだよ、あれ。得体の知れない箱が二課宛に届いたんだ。宛先は二課……送り主は不明。 二課の連中は恨まれてるやつもいるからなぁ。爆弾かと大騒ぎだよ」 山田班長は首をすくめた。 エー先輩は「どれどれ」と言いながら、ずんずんと歩いていって、受付の机にある40センチ四方の箱に近づいた。 二課の人々は「うわぁ」と言いながら、退いた。
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