スーツ 俺とお前と犯人と~最大級のラブレター~

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――なるほど……いや、全然わかりませんが。 なぜあれとこれがセット何ですか? 僕が言葉を発しようとしたとき、部長が帰ってきた。 部長は 箱をみてギョッとしている。 部長は口をパクパクして「これはなんだ」と特別班のドアのガラス越しに訴えた。 ーーなんて特別班の仕業にするのはやめてほしい。 僕はちょっとムッとした。 エー先輩は全然気にした様子はない。エー先輩はドアを開けずに黒い便箋を見せた。 部長はドアを開けようとドアノブをいじったが、鍵かかってるのに気がついて、悔しそうにしていた。 「いいですか。始まりますよ。ビーも新人くんも見ていてくださいね」 部長は大きく息を吸って、心を決めたようだ。 部長は箱を開け始めた。 すると、 捜査二課の人々が「うっ」と言って固まった。 それから捜査二課の人々は鼻を押さえて、窓を開けに走っていった。 少ししてとなりの捜査一課の人々も悶絶し、窓を開けようと駆け出した。 「何ですか、あれ」 「あー、あれはおそらく世界の珍味セットです。食べるとおいしいんですけどね」 エーセンパイは天使も惚れる微笑みをした。 「えー、じゃあ、あれ、俺もらってこようかな。俺、好きなんだよね」 ビー先輩は羨ましそうにみている。 「何ですか……あれ」 僕はエー先輩に訊ねる。 「悶絶の仕方からいって、ドリアンとくさやですね。お好きですか?」 エーセンパイは再び微笑んだ。 「やっぱり、俺、交渉しに行ってくる!」 ビー先輩はスキップするかのように軽やかにドアを開けた。 「ああ……先輩」 ぼくはビー先輩に止めるように言おうとして、ドアに近づいた。そして向こう側の空気をうっかり肺いっぱいに吸い込んだ。 「おえええ」 慣れない異臭に僕は涙目になる。 ビー先輩はウキウキしながら部長の元にいき、お構いなしの交渉中だ。 エー先輩はいつのまにかガスマスクをしていた。 「ほら、だからいったでしょう。おそらく部長が女性関係で……恨まれたのでしょう。奥さま? 愛人? それとも友達かも知れませんが。粋な仕返しですね。復讐は粋にやりたいものです」 エー先輩はうんうんとうなずいた。 「いや全然粋じゃない。臭いだけです」 僕は言いたかったが、空気が吸えないため主張できない。ぼくは急いで特別班の窓を開けた。 フロア全体が異臭に包まれている。この空気は一階や三階にも行くんだろうか……
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