スーツ 俺とお前と犯人と~最大級のラブレター~

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「君もね、捜査二課に来たんだからそろそろ危機意識をもって、ガスマスクくらい準備しておくといいですよ」 エー先輩はガスマスクの下でもほほ笑んでいたのが分かった。 「……はい」 僕は息も絶え絶え答えた。 ビー先輩は嬉々として部長のくさやを連れてきた。 「ドリアンは好きだからお前にはやらんと部長が言った」としょぼくれている。 「食べるとおいしいですよね」 ぼくが言うと、ビー先輩は「お前、わかってるねえ」と喜んでいた。 くさや本体をブンブンとビー先輩が振り回す。 「ああ、食べたいな。食べたいな」 「特別班に持ち込み禁止です。今すぐ食べるか、においが漏れないよう厳重にラッピングしてきてください」 エー先輩はビー先輩の背中を押して、捜査二課へ追い返した。特別班の部屋をでるとき、いつのまにかビー先輩の腕にはしっかり七輪セットが抱きしめられていた。 ――なんでも用意し過ぎだろう……すげえ、警察。いや、特別班か。 僕はあっけにとられていたが、ふと我に返った。 鼻もだいぶばかになったようだ。匂いもわからなくなってきている。 ――せっかくだからご相伴にあずかろう! 屋上へ向かうビー先輩をぼくは追いかけた。
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