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「ナムゲルさん、完全に押されていますね……」
そう言ってモミジブライ――巨人モミジは纏っている動力甲冑の兜を脱ぎ、素顔を晒す。その背中からは、専属機関士であるナランが機関室の天蓋から顔を出していた。
「仕方がないよ……相手は大隊長だもの……」
少年機関士の言葉通り、もう一騎のリストールには、若いながらも砦の総指揮を執るイバン大隊長が専属機関士ヘルヘイとともに自ら乗り込み、新人の操縦士と機関士に稽古を付けていた。
「大隊長がここまで強いなんて……」
「向こうの機体、機関の動きに乱れがない……」
ナムゲルは舌を巻いていた。
それは、ダジーも同じである。
ここ数日の訓練で身につけた自信が、粉々に砕かれる思いであった。
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