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しかし、ここで挫けるわけにはいかない。
「……まだまだ、いくぞぉ!」
「まだ、出力の配分が……!?」
ダジーが慌てて機器を操作するが、ナムゲルは機関士の言葉も聞かずに足の踏板に力を込め、両腕の槓桿を折れんばかりの勢いで機体を操る。
その操縦に従って動くリストールは、一見力強く槍を振り回すが、操縦士と機関士の合わない呼吸同様、何処かぎこちない。
当然それは結果にも反映し、大隊長騎は右足を軸にしてその場で後方に旋回、突き出された槍先を躱すと、そのまま通り過ぎるナムゲル騎の背中を槍の柄で叩く。
「ぐっ!」
「うぐっ!!」
その衝撃は二人に短い悲鳴を上げさせ、直後、リストール四号機は俯せに倒れる。
練兵場に、何度目かの地響きが空しく轟いた。
新人二人が一太刀さえも返すことが出来ない理由は、大隊長イバンがウライバ屈指の操縦士であること、そしてナムゲルの操縦技術が未熟なだけではない。
「武技の手練、操縦技術は徐々にではあるが上達している。
しかし、鉄甲騎は操縦士と機関士が息を合わせなければ力を発揮することが出来ないことを忘れるな!」
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