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不意にナムゲルはダジーに顔を向ける。
「……機関士の努めとは何だ、ダジー」
問われたダジーは、顔を上げて言葉を紡ぐ。
「機関の制御と機体損傷の補修、戦闘に於ける状況把握と助言……」
「違う、お前は操縦士の補佐さえしていればいい!」
突然立ち上がり、ダジーを怒鳴りつけるナムゲル。
その背後では、バイソールの円月刀とモミジブライの双刃槍が火花を散らし鍔迫り合っていた。
「戦うのは操縦士である俺だ! 貴様達機関士は操縦士が戦いやすいように支えていればいいんだ!」
その言葉を受けて一瞬、睨み返すダジーであるが、ナムゲルの怒りに押されたのか、再び項垂れる。
しかし、操縦士の言葉を肯定することもなかった。
練兵場では、バイソールが振るう円月刀、その峰が叩き付けられるものの、モミジブライは再び槍を構えていた。
倒れることなく――
屈することなく――
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