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直後に伝わってきた衝撃は予想していたよりも軽かった。
それどころか、全体が横倒しになることなく機体の転倒は収まっていた。
「ダジー……お前が助けて……」
「いえ、違います……」
直後、機体の外からうら若い女性の声に呼び掛けられた。
「……だ、大丈夫、ですか?」
ナムゲルがリストールの胴体上部に一体化している頭部を声の方角に向けると、赤い髪と瞳を持つ少女の顔が受像器いっぱいに映し出された。
「今、起こしますから……」
周囲が見守る中、リストールの巨体を懸命に支えているのは、これまた[巨大な少女]であった。
「モミジ、そのまま支えていてくれ!」
リストールよりも頭一つ分の身長を持つ巨人――山岳民族の装束を身に纏うモミジの右肩からナラン少年が脚甲騎の天井に飛び乗り、慣れた手付きで天蓋を開ける。
「ダジーさん、すぐに機体を安定させて!」
「わ、わかった!」
ナランの呼び掛けに、我を取り戻したダジーが予備操縦装置で機体に膝立ち姿勢を取らせる。
「お二人とも、無事ですか?」
「あぁ、何とか……」
声につられて天井を見上げたナムゲルとダジーは、天蓋の外から自分たちを見下ろす巨大な瞳を目の当たりにして絶句した……
「どうやら、無事みたいですね」
天蓋からモミジが覗き込む様子にナランが呆れる。
「それ、割と[怖い]から……」
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