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挫折と衝突
その日の昼――
「初日からやってしまった……」
「そんなに気を落とさないでください……」
ドルージ機関士長の説教の後、食堂の卓に突っ伏すナムゲルと、[相棒]を慰めつつ、自身も肩を落とすダジー。
「俺も悪いんです。本来、機関士はこう言うときに補佐しなければならないのに、自分まで取り乱して……」
「訓練では、上手く動かせたのに……」
暫く黙り込む。
その他の卓では操縦士や機関士だけでなく、騎兵や歩兵などが所属も身分も関係なく談笑していた。
新人操縦士ナムゲルは、小国ウライバ藩王国の入り口であるウーゴ砦並びに市街を守護する領主、トノバ家に仕える郎党ダージル家の次男である。
本来。家督を継いだのは長男だったが、一ヶ月以上前に発生した砦攻防戦にて戦死……
そこで、ウライバ本軍の予備操縦士として訓練を続けていたナムゲルが家督を継ぎ、砦守備隊に着任の運びとなったのだ。
そしてダジーもまた、予備機関士から昇格が決定したばかりの新人機関士であった。
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