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数日が経過した――
努力の甲斐もあり、ナムゲルとダジーはようやく、リストールを思い通りに操縦することが出来るようになった。
しかし、まだ[使いこなした]とまでは云えない。
そして今日も訓練に励んでいる。
「くっ……同じリストールなのに……!?」
「どうした、私はまだ、全力を出していないぞ」
砦の北西に広がる練兵場――
二騎のリストールが向かい合い、互いに手にした長槍を激しく合わせている。
寧ろ一方が押されているといった方が正しかった。
巨大な岩の壁に囲まれ、更に雄大なウル山脈が見守る乾いた大地の中では、鉄の巨人も小さく見える。
不利を強いられているのは無論、ナムゲルとダジーが操るリストール四号機である。
訓練に参加している他の鉄甲騎が、戦う二騎を遠巻きに見守っている。
その内訳はリストール二騎に加え、古風な西方騎士を思わせる鉄甲騎〈バイソール〉二騎。
加えて、東の島国の武者を思わせるモミジブライの姿もあった。
他にも、技師と機関士が不測の事態に備えて待機している。
これに街道警邏中の第三小隊三騎を合わせ総勢十騎が、砦の鉄甲騎の総数である。
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