二人の新人

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二人の新人

 暗く狭い室内――  簡素な防具の青年機関士ダジーが座席に腰掛けたまま、計器類や操作機器の状態を確認しつつ、機体の起動準備を進めていた。 「〈焔玉〉への点火確認、汽罐内温度上昇……注水開始」  弁や活栓を操作し、粛々と準備を進める。 「補助〈ホシワ機関〉始動確認、発電機接続……」  パチパチと入れられた接続器が小気味よい音を立てる。  そして…… 「汽罐内圧力上昇……蒸気注入、〈焔玉機関〉……始動!」  徐々に全体が揺れ始める。  それは、この脚甲騎〈リストール〉が目覚めた瞬間であった。 「前席、発進準備よろし!」 「……お、応!」  その言葉を受け、前席操縦室――緊張した返事をするのは、新品の防具を身に着けた若い操縦士ナムゲル。 「操縦槓桿、定位置確認……各表示灯異常なし……〈リストール四号機〉、発進!」
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