脚甲騎リストール――ある新人戦士の初陣――（鉄甲騎モミジブライ番外編）

激戦の果てに

　翌日、守備隊全員に招集命令が下った。
　最近、ウーゴに続く街道にて盗賊行為を働く凶賊が出没したとの通報を受け、それを討伐することを決定したのだ。

　兵舎、食堂――

「未確認ですが、相手は鉄甲騎三騎程度で武装していると思われます」
　イバン大隊長の実妹であり、瓶底眼鏡とだらけた長衣の［残念美女］シディカ副隊長が、貼られた地図で作戦概要の説明を続ける。
「えっと、セレイちゃんと騎馬隊が空中と地上より峡谷を偵察……同時展開にて鉄甲騎が侵攻、敵発見の合図とともに合流、これを一気に叩いて下さい」

　イバン大隊長が全員を鼓舞する。
「現状、砦の戦力が復旧したとは言い難い……
　しかし、街道の治安を守るのも守備隊の任務だ！」

　斯くして、イバン大隊長指揮の下、第一小隊と第二小隊による討伐任務が開始された。
　ウーゴ砦の城門が開かれ、モミジブライを含む計七騎の鉄甲騎と三十騎の騎兵がその駒を進める。

　その中には、第二小隊に正式配属となったナムゲル、ダジーが操る脚甲騎リストールの姿もあった。

「この戦いで手柄を上げれば、大隊長も俺を認めてくれる筈だ！」

　意気込む前席のナムゲルに対し、後席のダジーは不安げな表情を消せないでいた。