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土曜日の午後。 我々はいつも、図書館にいた。 そこでは、小さな読書会が開かれていた。 テーマを決めて、ただ一冊の本について歓談する集まりだった。 時には真摯な議論にも発展したが、誰もが愉しそうに話していたのを思い出す。 メンバーはいつも一緒。 子供の頃からの知り合いばかり。 大企業社長の子息、官僚の娘、歴史ある高級旅館の跡取、著名な大学教授の息子、昔ながらの地主の娘。 最初は伝統ある名門の私立幼稚園で知り合った。 それからエスカレーター式に小学校、中学、高校、大学とずっと同じ学校に通った。 中学生の頃から始めた読書会は、大学3年の時まで続き、最後まで愉しく語り合ったのは、今でも良き思い出だ。 それ以降、読書会が開かれることはなく、メンバーにも誰一人会っていない。 今でも思い出す、あの特別な時間、そしてあの瀟洒な空間。 ある時は、ロマネコンティやシャンベルタンを嗜みながら語り合った。 あの愉しき時間には、我々の至福のみが詰まっていた。 だがそんなものはもう、どこにも無い。 メンバーが皆、今何をしているのかも知らない。 かって存在した、あの威厳に満ちた大理石で埋め尽くされた西洋の古城のような我々の"土曜日の図書館"も、いつしか老朽化のため、すでに取り壊され、完全に消滅した。 今はただ、その終焉後の時間を生きているにすぎない。
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