その工場は夢を見る

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 日が変わって、今日は休日だった。  何もすることがなかったアジロは、自分の部屋で本を読んでいた。  するとそこにドアをノックする音が響いた。 「アジロ、ちょっといいかい?」  父親の声が廊下から聞こえ、アジロは部屋のドアを開けた。 「なに?」 「会わせたい人がいるんだ。ちょっと下まできてくれるかい?」  アジロは素直にうなずいた。  父親と一緒に一階の喫茶店に行くと、店内には知らない男がひとり、母親と向かい合って座っていた。そのテーブルまで行って父親は言う。 「連れてきました。この子がアジロです」 「おお、この子か。はじめまして、アジロくん」アジロを見て男は言った。  男は白髪で顔には小さなシワがあるが、顔つきからして年齢はおそらく五十代といったところだ。目は力強く、その態度は自信に溢れていた。 「さっそくだけれど、きみは夢を叶えるために精霊師になりたいそうだな? ご両親からそう伺ったのだけれど、それは本当かな?」  男の質問にアジロは答える。 「はい、そうです」 「だけど、精霊を見る力がきみには備わっていない。そうだね?」 「はい」 「じつはわたしはこの国専属の精霊師でね。ご両親からの相談を受けて、きみの夢を叶える手助けをしにきたんだ。結論から言うとねアジロくん、きみは精霊が見えるようになる。そうなるための方法をわたしは知っている」 「ほんとか?」アジロは目を輝かせた。 「もちろん」精霊師の男は笑顔を見せてから、説明を続けた。「精霊を見る力は、ある試練を受ければ手に入れることができる。その試練は難しくはないが、はっきり言って怖い。勇気が試される。だが、大きな夢を持つきみならきっと乗り越えられるだろう。もしきみさえよければ、いますぐにでもその試練を受けさせてあげるが、どうだろう? これからおじさんと一緒に出かけないかい?」
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