その工場は夢を見る

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 とつぜんの申し出にアジロは不安と戸惑いを覚え、とっさに両親を見た。  両親がそれに答える。 「アジロ、これは滅多にないチャンスだぞ。これに飛び込めるかどうかで、その後の人生が変わるかもしれない」 「だから行っておいで。昨日も言ったでしょう? アジロなら絶対に大丈夫。信じた道を進みなさい」  それを聞いてアジロは力強くうなずいた。  そして精霊師の男に言う。 「行く! それで夢に近づけるのなら、おれはやるぜ」 「よく言ったぞ、アジロくん」精霊師の男はその勇気をたたえた。「それじゃあ出かける準備をしておいで」 「どこに行くの?」 「そんなに遠くではない。憩いの湖にある工場だ。きみの乗り越えるべき試練は、そこにある」  アジロは準備を整えて、精霊師の男と一緒に家を出た。 「いってらっしゃい、頑張ってね」  そう言って見送る両親に、アジロは手を振って答えた。 「いってきます」  アジロは胸が高鳴るのを感じた。  まるで冒険に出るみたいだった。  一歩一歩を踏みしめながら、アジロは精霊師の男のあとに続いた。
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