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アジロは精霊師の男と一緒に憩いの湖にやってきた。
工場のある島に行くために、まずは橋へと歩く。
工場は関係者以外立ち入り禁止なため、橋の入り口には門があり警備員が立っていた。憩いの湖の中では、ここだけが物々しい。
「これはこれは、精霊師様。工場へ行かれるのですか?」精霊師の男に気がついて、警備員が言った。
「そうだ。開けてくれるかな?」
「かしこまりました。ただいまお開けいたします」
警備員がどこかに合図をすると、門が開き始めた。
「ご苦労」警備員にそう言ってから精霊師の男はアジロを見て言う。「それじゃあ、行こうか」
精霊師の男が門をくぐって先へと進み、そのあとにアジロは付いていく。
「この工場にくるのは初めてかね?」橋の上を歩きながら精霊師の男が訊ねる。
「はい」
「何を作っている工場か知っているかな?」
「それくらい知ってるよ。精霊石を作っているんだろ?」
「ははは、これは簡単過ぎたか。だがどうやって精霊石を作っているかは知らないだろう?」
「それは、知らない」
「無理もない。この技術はこの国の重要な機密だからね。だけど将来精霊師になるであろうきみには、少しだけ特別に教えてあげよう。この工場はね、精霊を使って精霊石を作っているんだ」
「精霊? この工場には精霊がいるのか?」
「その通り。大雑把に言うとこの工場の精霊石は、精霊が生みだすマナを結晶化して作っている。そのためにこの工場には、ある精霊を住まわせているのだ」
「そうか、それでこの国には専属の精霊師がいるんだね」
「きみはかしこいな。そう、わたしの精霊師としての仕事は、この工場の精霊を管理することだ」
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