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ハルジオとニイザは、この部屋にあるもうひとつの扉の前に立っていた。
「なんでこんなところにハルジオとニイザが?」
ふたりの姿を見て、アジロはつぶやくように言った。
それをかき消すかのように、しかしあくまで冷静な声で精霊師の男がふたりに言う。
「きみたちはいったい何者だね」
「なに、通りすがりの精霊師ですよ」とハルジオが答えた。
その答えにアジロは驚く。
ハルジオが精霊師だって?
「わたしは違いますけどね」微笑みながらニイザが言った。「わたしはちょっと精霊に詳しいだけのか弱い女の子です」
「いずれにせよここは通りすがりがふらりと訪れてよい場所ではない」精霊師の男が言った。「許可なく立ち入ったのであれば、不法侵入で逮捕することになるが?」
「いやまあ、ぼくだってできることなら穏便に済ませようと思いましたよ? だけど状況が状況だったので、仕方がなくこうして顔を見せることになったわけです。だってねえ」とハルジオは頭をかきながら言った。「あなたがアジロくんに入るように言ったその部屋。その部屋に入った者は、死んでしまうのだから」
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