その工場は夢を見る

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 ハルジオが話し終えると、部屋は静かになった。  しかしその静寂は、すぐに精霊師の男が打ち消した。 「よくもまあ、そんなウソをペラペラと」と精霊師の男は言った。「今わかったぞ、きみは精霊師ではなく詐欺師なのだな。結局、きみの言うことには何ひとつ証拠などない。ただの物語だ。アジロくん、こんな物語に踊らされてはいけない」 「それを言うのなら」とニイザが口を開いた。「夢は必ず叶うなんていうこの国の大人たちの言い分も、確証のない夢物語だと思いますけどね。この場合、踊るべきはどっちの物語だと思います? アジロくん?」  アジロはハルジオと精霊師の男を順番に見たが、やがて精霊師の男を見上げて言った。 「あの、少し考える時間をくれませんか? おれ、もうなにがなんだかわからなくなっちゃって……。だから、とりあえず今日は、帰らせてください」  それを聞いた精霊師の男は、ため息をついて言った。 「しかたがないな」  と、そのときだった。  精霊師の男がとつぜん、アジロの細い腕をつかんだ。 「これ以上、鮮度を落とすわけにはいかん」  そうつぶやいた彼は、力づくでアジロを白い空気の満たされた部屋へと放り投げた。  アジロは一瞬にして、白に吸い込まれた。
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