三通目のお手紙

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三通目のお手紙

 あなたへ  今日はあなたと初めて出会った日のことを思い出していました。  あの時、私は期待と不安が入り混じったドキドキで胸がいっぱいでした。そんな気持ちを抑えながら、一所懸命におしゃべりしていた私に、あなたは相槌のように「可愛い、可愛い」と言ってくれました。目尻に小さな皺を作って、えくぼを浮かべて笑いながら。あなたが「可愛い、可愛い」と言ってくれる度、私の中の不安な気持ちが、一つ、また一つと(ほど)けていきました。  それから今度は、あなたが私にたくさんお話をしてくれました。私たちが出会うまでに、どんな風に生きてきたのか、どんな事を学んできたのか。  あなたのお仕事でもある生物学のお話は、風変わりな生き物や変わった名前の生き物の事が次から次に飛び出して、まるでショーケースに並ぶ、色とりどりのケーキのようでした。とても面白かったです。  あなたはまるでプレゼントを受け取った時の子どものように、目をキラキラと輝かせながら、夢中でお話ししてくれましたね。私は生き物のお話自体も面白かったのですが、そんな風に熱を込めてお話されるあなたのお姿に、ちょっと好感を覚えました。  趣味のソロキャンプや特技の乗馬のお話。子どもの頃から大事にしているという、切手のコレクション。私はかつて、小さな紙片を貼り付けた紙を使ってお手紙をやり取りしていた時代があったなんて、その時初めて知ったんですよ。  それから、あなたはこうも言ってくれました。 「私たちはこれから、ずーっと一緒だよ。よろしくね」  って。あなたは覚えておられるかしら?  その頃にはもうすっかりあなたのことが好きになってきていた私は、この一言をとても嬉しく思いました。これからもずっとあなたのお話が聞ける、そのことがとても嬉しかったのです。  またね    
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