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「えーそれでは!メンバーも揃ったので、
これより『納涼!肝試し大会』を開催したい
と思いまーす!!」
開催者であるクラスの男子が、マイクに
見立てたシャーペン片手に高らかに告げる。
そのおちゃらけた姿に、集まったクラスメ
イトは各々の反応を見せつつ拍手を送った。
斯く言う私は拍手を送りつつも、脳内では
最高に不機嫌な顔で男子の頭に向かって平手
を繰り出していた。
現在、午後9時30分。
集まった20人余りが待機しているのは
去年廃校になった旧校舎前だ。
こんな時間に、男女入り交じった大人数が
立ち入り禁止区域で遊ぶなんて危険だ。
あと納涼は夏の盛りに使う言葉だから9月の
終わりに使うべき言葉ではない。
イライラを消化するべく貧乏ゆすりをして
いると、隣に立っていた男子が苦笑いを
していることに気づく。
「なに?」
「いやー?杉野さん、そんなに嫌なら
拒否れば良かったのにって。杉野さん真面目
だし、こういうの好きじゃないだろ?」
へらっと笑う顔に舌打ちをしそうになる。
そうだ、私は真面目だ。今回のことだって
本当なら拒否したかった。
だが、私にはこれに参加する理由がある
のだ。
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