1818人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
本棚が1000を越えました。ありがとうございます。
朝起きると隣側がペッタリと凹んでいることに気が付いた。平べったくなっているだけかなって、踵を落としてみたがやっぱりいない。
そこで眠っているのかもしれないのに踵を落とすなんて酷い事をすると思うだろうが、何と無く……何故そう思うのか知らないが健二には何をしてもいいと思ってる。
何をしても怒らないし、実は不死身なのでは無いかと怪しんでもいる。
車にも勝ったし、ゴリラにも勝ったし、何よりあの重量のある鉄の棒を頭に食らっても数十分で復活して大量の血にもピンピンしていたのだ。
腹に踵落としをお見舞いしても「呼んだ?」って普通に返事する。
絶対。
それにしても健二の方が先に起きるって珍しい。
事務所にある奥の部屋は窓が小さいから光の色で時間を感じるって出来ないのだ。寝すぎたのかと急いで時計を見るとまだ六時過ぎだ。
まあ、何か予定がある訳じゃないから寝坊なんて種類の失敗はないんだけね。
「寒……」
健二が眠る時に暖房をつけるは嫌だと言うからエアコンはついていない。
さっさと着替えて事務所の方に出ていこうと着ていたTシャツの上にパーカーを被った。
足が冷たいから靴下を2枚履いて事務所へのドアを開けるとそこに健二がいた。
「おはよう葵」
「?」
おはようはいいけど………
何をしているのだろう。
もう寒いのに薄い白シャツはみぞおちが見えるくらいまでボタンが外れている、しかもなんだか髪や顔が濡れているのだ。
まだ行き渡らない暖房に部屋の中は寒い、それなのにまだ暗い窓の外を見てニコニコと笑っている。
健二が変。
実はこの所、度々…頻度多めで健二が変だった。
変な健二には随分慣れたと思うけど、理由がわからない、健二の変には何か必ず理由がある筈なのだ。
その理由は強いて言えば若いお姉さんとか、もう一回言うけど若いお姉さんとかその中でも綺麗なお姉さんとか美しいお姉さんとか……まあとにかくお姉さん、それと腹の出た親父、それ以外は意外とマトモなのだ。
別に庇ってるんじゃないよ?
変ってそれだけじゃないけど特別変だからそう言ってる。
しかし今は早朝で二人っきりな上に来客の予定もない、思い当たる事は何もない。
服のチョイスも変だけど濡れてるのにニッコリ笑ってるなんて変だろう?
どうやったらそうなるのか知らないけど、間違えて服の上からシャワーを被ったとか何かあったのか……。
まあどうでもいいから朝ごはんを買いに出る。
一応タオルは渡しといたけどね。
最初のコメントを投稿しよう!