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英雄
ところでさ引越し業者さん達まじ来ちゃったんで、速攻作業終わらせるしこのアーカイブ読んどいてくれる?ごめんね
『我が国における軍備の脆弱さは昔から言われてきたものだった、それを補うため官民一体となり極秘裏に開発されていたアンドロイド︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎医療支援型汎用人型兵器︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎︎︎元々それ迄に培われてきた医療支援ロボットと作業補助ロボットをベースに戦場で傷付いた兵士の治療を主な目的とはされていたが実際には半径10km程度の戦域を掌握する性能を基本設計とされていた、情報収集用各種センサー、火器管理システム、外部からの干渉を一切遮断できる電子戦用高性能システムを搭載し防御と同時に敵火力を自軍へと導く事も可能にするハッキングシステム、攻撃によるダメージを軽減するナノテクノロジーの新素材装甲を装備して我々と何ら変わりない大きさの人型歩行兵器が実験段階であったが完成した。
そこに我が国が他国の追従を許さないAIを搭載する事により実用化に成功、プロトタイプ4体が完成、数カ国において過酷な実地テストが繰り返され想定を上回る成果を当初はあげていたが最終段階における実戦模擬訓練で大きな障害が露呈した、医療行為を重きと考えたAIが実戦を拒否してしまうという結果に陥ったのである。
AI未搭載の機体も数体製作されたが、これにおいては操作に熟練者の操縦が不可欠でその者の熟練度を上げるためのカリキュラムを想定すると現実的ではないという結果に終わった。
しかし並行して 試行錯誤を繰り返されていたAI搭載機の方で特異な現象が現れた、それは救護対象者に危険が迫ると本来備えられた能力を駆使し対象者保護に遺憾無く目的を完遂するのである、だがその行為は対象者の保護が達成されると同時に終息し更なる追撃は一切見受けられなかった。
研究者は救護対象を、兵士だけでなく自国民全員へとAIを教育すれば結果ひとたび我が国に危機が迫れば敵殲滅へと導けるのではないかと実験を繰り返したが思う様な結果は望めず数年の開発を経てこのプロジェクトは終了された。
プロトタイプの4体はその後メモリーを消去され各公共機関における警備などに極秘使用されている。
そしてこのプロトタイプ『甲-1』は、この街の市役所で使用されていた、そして開戦から僅か数時間で終結させたのはこの『甲-1』の他の何ものでもなかったが機体の損傷が激しくなぜこの様な行動に至ったかは未だもって不明である。
しかし『甲-1』によって戦争は早期に終了と言う結果に我々は感謝の言葉では足りない……』
『我々第3師団は開戦時、海岸線の守備ラインの防衛をしていましたが敵の圧倒的な火力により防衛ラインは後退する一方、僅か数時間で最終防衛ラインまで撤退せざるを得ない状況でした。
しかもその防衛ラインまで撤退できた者は開戦時の1/3迄減少しており、尚も敵戦力は圧倒的でこの街の陥落は時間の問題でした。
しかし、重苦しい雰囲気が漂う中、絶望的なこの状況において耳を疑うような無線が飛び込んできました。
内容は信じ難いもので市街地中心部で敵勢力を押し返してるとの事、当初は敵による偽情報で残存兵力をその場に集結させ一網打尽にする罠だと思われていました。
しかし時間が経つにつれて残存していた各小隊から同じ内容の無線を受信し我々も中心部へ向かう事にしました。
途中、敵兵と度々遭遇しましたが組織だった戦闘はなく散発で防戦一方、詳細がわからない我々は数分前までの敵の攻勢を受けているだけに逆に恐怖すら感じていましたが残弾も少なく戦闘はなるべく避け中心部で起こっているだろう戦闘に集中して隊を進めました。
中心部へ近付くにつれ四散していた小隊が集まり防衛線を改めて築きあげようと市役所にポイントを定め、そして我々はその市役所で目にするのです。
あれはなんと言って良いのか正直今でもわかりません、敢えて言うなら『戦鬼』警備員服の男が孤軍奮闘していたのです街のゴロツキとの喧嘩では無いのですよ重兵器こそありませんでしたが敵兵はAK-103アサルトライフル装備でしたが警備員はそれをものともせず四肢から分岐し伸びるアームに取り付けられた火器であらゆる方位の敵を威嚇していました、そう驚く事に威嚇なんです。
我々は何をしているのか呆然とその光景を眺めていました、その内に痺れを切らした自軍兵士が戦闘に加わりましたが瞬間に肩と右大腿部に銃弾を受けフィールドのど真ん中で戦闘不能に陥りました、遮蔽物もなく救助は困難でしたがその警備員はライフル弾をものともせず負傷兵に近付くとその場で大腿部の処置を始めたのです。
背中には相当数のライフル弾を受けてるようでしたがその警備員は負傷兵の処置を終えると我々の居る崩壊したビル陰迄運んできて『ここは私の戦場、あなた方は残存兵力集結を急ぎ海岸線に向かってください』とだけ告げ元の位置へ戻って行きました。
遠目に見ていた我々でしたが近付いた警備員はアンドロイドでした、顔半分の装甲は崩れ落ち四肢から出ていた兵器の殆どは機能していないようで何より身体全体を覆う装甲は限界と言って良かった、しかし私には彼にかける言葉はなく言われた通り兵を集め海岸線へ向かいましたそれが彼を見た最期。
2日後、敵兵の完全撤退を確認した後、ここへ戻りましたが彼は⋯彼は⋯』
これ街に出来た記念館で流れてるんだけどその横にはボロボロになったロボットが展示されてるのそのロボットは殆ど焼け落ちてるけどあの見慣れた制服に胸には私があげたマーガレットのワッペン⋯
『甲-1』
あの、あの荒廃した街に戻ってきた時の事を思い出したよ息を切らし駆け上がった瓦礫の上で見たもの
『・・・このお花がなかったら悲しいだろ』
『・・・うん』
「こんなボロボロになるまで・・・痛かったでしょ・・・辛かったでしょ⋯でも、」
私は思いっきり手を伸ばしおじさんを触ったのおじさんは動かず冷たかったけどあのおじさんの温かかった手は覚えてる
「ありがとうおじさん」
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