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引越し準備
大掃除の途中で昔の日記や写真が出てきたら最悪だよねぇ私の場合は小学生の時に書いた作文だった
この作文、学年代表どころか市長賞に輝く私史上唯一の賞典なんだけど実はコレすごく悲しいエピソードが付いてくるんだよねぇ
あの時は市役所で表彰式が催されてテレビもくるって事で田舎からはおじいちゃんとおばあちゃんがやって来て、お父さんは会社を休み、お母さんは朝から着付けやら髪結いやらで大忙し、私はと言うと可愛いワンピースと新しい靴を買ってもらって髪も美容室でセットしてもらってアイドル気分で表彰式に挑んだんだよね
市長賞は3人選ばれて賞状と楯、副賞で図書券、市報掲載と地方紙だけど翌日の朝刊掲載、そして夕方のニュースでも流れるって事で翌日は本当のアイドルみたいになれるものと思ってたの、市長室の前で暫く待たされ準備出来次第入室して表彰式への流れだった
そしてココで悲劇の幕が開く!
私達が入室しようとした時スーツを着た2人組がお父さんを呼び止めもう暫くココで待つようにと言われたの私も幼かったよねぇ自分だけ特別な事が起こるんじゃないかと胸をときめかせていたよ
するとお父さんが廊下の突き当たりに連れて行かれて暫くすると老人が現れ話している、と言うより懸命に食い下がっているようで暫くすると肩を落として悲しい顔で帰ってきた、そして『真依帰ろっ』って私より先にお母さんが叫んだよね、そして続いておじいちゃんが怒り出して、やっと私が泣き出しておばあちゃんがなだめる、うるさいからって中から職員さんが出てきてこの場を離れるように言われて、もう修羅場ってああ言う状況なのかな?
でもね一応、賞状と楯と副賞は貰えたの、市報にも新聞にも名前は載った、けどテレビの中ではお兄さんとお姉さんが作文を読み上げ市長さんから表彰状貰ってた、そこに私の姿はなく代わりにテロップで『都合により欠席』って・・・小学生になんの都合があるってんだよ
ほーんとっ最悪っ!
あっそうだった、話は前後するけどそのお父さんが転勤になるんで引越し準備中なわけね今、それこそ引越し準備中で手を止めて見てくれてる、まぁそんな出来すぎた事はないと思うけどもう暫く付き合ってくれる
「真依っ!そろそろ引越し屋さん来るわよ」
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