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僅かばかりの浅い眠り 朦朧とする思考 僅かに伸ばしただけで亀裂の走る 砂漠の身体 何をしてもしていなくても襲い来る痛み 痛みを上回る強さでやってくる掻痒感 何時の間にか生きながら地獄に迷い込んでいました 心と身体が限界に達したとき 母の前で遂に自分が崩壊しました 「誰か、私を消してくれないかな」 言いながら涙が溢れて止まりませんでした 子供に言われて一番辛い言葉だと解っていながら 私にはそれしかなかったのです それほど余裕を失っていたのです そしてそれから間もなく 天からの使者が私の元に現れました 1人目の使者は 文字通り私に生きる希望を与えてくれました 私の足に絡みついていた たくさんの真っ黒な蛇を取り除き 身体の中に巣食っていた魔物を 1つ1つ焼き払ってくれました 鳴らなくなっていた私のピアノを 初めて聴かせてくれました 不思議な事に 私の音を私自身より知っているのでした そして私に魔法の呪文を教えてくれました 私は1日も欠かさず朝も夜もそれを唱えました
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