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2人目の使者は 暗い湖の底に沈んでいた私の住処に 光を差し込んでくれました そして私の遠い遠い過去を話して聞かせてくれたのです 『昔、1人の小さな少女がいました 少女の国は他国と激しく争っていました 家族を失い、数人の大人達に守られ 少女は森の中を逃げていました 敵に見つからないよう、大人達は少女の肌に泥を塗り 髪と服には草木を挿しました 追手の執拗な追跡に必死になる内 少女は大人達と逸れてしまいました 暫くは逃げ延びていましたが 遂に敵に見付かってしまいました 男は少女を見て言いました 「何だ、この汚い子供は!殺してしまえ」 少女は殺されてしまいました けれど少女は思いました 皆に守れられていなければ もっと早くに見付かって殺されていたに違いない こうして、身体を黒く見せていれば安全、 そう思い込んでしまったのです 「この子の勘違いを正してあげなければ 天界のエネルギーをこの時代に下ろして過去を変えることで 未来をも変えることができるのです」 天使はそう言って、不思議な力を使いました すると、少女はこう変わりました 森の中を逃げる時、少女の身体は綺麗なままでしたので 追手に直ぐ見つかってしまいました けれども、発見したのは敵でありながら心優しき人でした 「まだ幼い子供じゃないか、殺すのは忍びない」 そう考えた男は教会に連れて行き匿ってくれました その時、少女は思いました やはり汚れていない方が幸せになれるのだと』 聞きながら、私は何故だか涙が毀れました それから2人は たくさんの人と出会わせ たくさんの癒しと光の言葉を与えてくれました それでも 全てからの解放はなかなか訪れませんでした とてもとても永い年月を掛けて 細胞1つ1つにまで入り込んでいた闇 この「奇妙」と名付けられた魔物は 次から次へと苦痛を吐き出し襲い掛かってきたのです
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