三人

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三人

今、三人で学校が終わり帰宅途中である。 俺は高校2年で赤井勇人(あかいゆうと)。 高校に入り身長が伸び今は身長175センチある。 髪は短髪の黒。身長が高いせいかバスケ部に入らされたくちだ。 そのバスケ部を勧めたのが今、俺と歩いている青野武志(あおのたけし)。 通称アオだ。彼も高校2年で部活はもちろん同じバスケ部である。 身長は俺と同じぐらいで髪を茶色に染めている。 校則が緩く、この高校では染めている人もまばらである。 部員で髪を染めているのはアオぐらいなものだが俺達は補欠なので試合には参加していない。だが部活は遊び半分に楽しんで練習している。 そして俺とアオの間を歩いている小さいのが黒川雪(くろかわゆき)である。 身長は150センチくらいと小さく通称はクロだ。 肩までかかる髪で薄茶の高校二年生である。 彼女は俺と幼なじみである。 部活をしておらず帰宅部である。それには訳があるのだが今は大丈夫なようだ。 俺達三人は中学から仲良く通称で名前を言いあってる。 俺がアカで青野がアオ、黒川がクロである。 そんな俺達は三人で仲良く学校から家に帰る途中であった。 「あぁーかったるいな…」 そう言ったのはアオである。 「よくいうよ練習サボってたじゃないか」 「そうだよ、あたし見てたよ」 アオはよく練習をサボりボールで遊んでいる。そしてクロは俺達の部活を見学している少女であった。 「まぁー練習疲れるからさ。それよりこれからどうする?真っ直ぐ家帰るかゲーセンでも行くか?」 「そうだな…」 俺は少し悩んだがクロが右手を上げた。 「はいっはいっ!あたしはゲーセンがいいと思います」 その言葉で俺とアオは頷き三人でゲームセンターへと歩を進めた。 途中、クロのいつもの発作がおこる。 「おい大丈夫か、クロ?」 俺が心配な声でいうとクロは笑顔で微笑んだ。 「もーアカは、いつも心配症だね。あたしは大丈夫だよ」 そんなふうに言ってはいるが俺は彼女の事が好きで、いつか告白しようと思っているので心配なのだ。 「病院いくか?」 「無理するなよ、いつもアカが病院連れてってくれるとは限んないぞ」 「へっへへ、あたしは大丈夫!さぁーゲーセンは目前だよ」 だが、その瞬間クロが頭を押さえる。 「おいっアカ。病院へ!」 「あぁーいつもの発作だな。俺が責任持って連れていく。お前は先帰っててくれ」 「いやっ俺も!」 「大丈夫だ。俺は、こいつの事をよく知っている。たぶんすぐ良くなるから」 「分かったよ、お前が言うなら大丈夫だよな。任せるからな…」 「あぁー」 俺はアオと別れクロを背中におぶさり病院へと向かう。 クロは寝ているようだ。 いつもの病院へ向かう途中まで歩くとクロが目を覚ました。だが、そのクロはクロであってもシロであった。 「あっユウト。また私寝ちゃったんだね」 「起きたかシロ?」 「うん」 「このまま病院行くか?」 「ううん、久しぶりにゲームセンターに行きたいな」 「そうか…じゃあ戻らないとな」 彼女は二重人格であった。昔は、そうではなかったがシロこそ黒川雪の本当の人格であった。彼女がどうしてなったかというと高校受験で無理をし過ぎたのが原因ではないかと医者は言っていた。俺とシロの両親は仲が良く家族ぐるみの付き合いである。だから俺にもシロの異変を教えてくれたのだった。 俺はシロの事が好きである。 久しぶりに会話した事で俺は告白の言葉を口にしてしまった。 「俺はお前の事が好きだ。だからではないが、ずっとお前を守るよ」 そう言ってしまったのだがシロも満更ではないようだ。 シロの顔がだんだん赤くなる。 「うん。その返事だけどまた今度でいいかな?」 彼女にも考える時間がいるだろう。 俺は背中からシロをおろし、さりげなく彼女の手を繋ぐ。 彼女の手は温かく柔らかった。 道を戻ると先程三人で行こうとしたゲームセンターが見えた。 そこに仲良く二人で入る事にする。 中は広く大きな音楽が色々な台から聞こえてくる。 その中の一つにリズムゲームがあった。 新規の台みたいでリズムに合わせてボタンを押すタイプの対戦台であった。 「わたし、これやりたいなユウト」 「おう、これだな。よしやろう!」 台の前に立ちお金を入れる。すると曲を選択する画面がある。 その中の一つを選択し俺とシロはボタンを押し対戦した。 何回か対戦したが結果はシロの圧勝であった。 俺とシロも初めての台なのに彼女は余裕であった。 「ふっふ私の勝ちだね」 「まぁー偶然だな。次は俺の得意なレースゲームをしようぜ」 「もうっ、負けず嫌いなんだから」 「はっはは」 リズムゲームから離れた所に行くと5台並んでいるシートがある。 そこに俺達は座りゲームを始めた。 「えいっえいっ」 シロがハンドルを左右にぐるぐるまわすのだが、その姿が可愛く俺は見とれてしまった。だが、それでもレースゲームは俺の勝利に終わる。 しばらく色々なゲームをし俺達は家路へと向かった。 帰る頃にはシロは俺の背中で寝ていた。疲れがたまったらしい。 家の付近に近づく頃、シロが目を覚ます。 それは既にシロではなくクロであった。 「おはよう」 「あっアカ。もしかして、あたし、また寝ちゃた?病院連れてってくれたんだ。ありがと、へっへ」 「まぁー無事で良かったよ」 「うん。あぁーゲーセン行きたかったなぁー」 「そうだな。じゃあ今度行こうぜ。アオも連れて」 「うん、じゃあ、おやすみ」 クロは、そういうと家の中へと入って行った。
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