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創作ダンス
「またサボってた二人とも!!」
「はっはは、いつもの事だろっ?」
「うんもぉーアカは良いとしてアオはバスケ上手なんだから」
「だってさアオ!」
「へぇー俺に惚れたかっ?」
「そっ、そんな訳ないじゃない」
顔を赤らめながら俺とアオを見るクロ。
「よしっ、じゃあ練習しにいくぞクロ!悪いなアオ、また明日な!」
「おう頑張れよ。さて俺は一人で帰るとするか」
「もぅーアオ…拗ねないでよ。公園に行くのに寄り道してたら遅くなっちゃうんだもん」
「じゃあ俺も付いて行っても…」
「それは無理!!」
クロはズバッとアオの言葉を切り裂いた。
「という訳だ。しばらく寄り道できそうにない。その代わり素晴らしいダンスにしてお前に見せるよ」
「分かった。ただ俺、クラス違うから見れないんだが…」
「あっ!」
「アオには発表会が終わったら見せてあげるね。よしっ公園へ出発!」
アオと別れ俺達は公園へと向かう。
「なぁークロ。なんでアオも連れていかねぇーんだ?」
「だってあたしが倒れたら、あたし変になるじゃない」
「まぁーそうかもな」
でも俺としてはクロがシロになってくれるという心境で複雑な思いだ。
クロの人格か、シロの人格か。
俺の答えは後者だ。
俺は雪がシロに戻って欲しいという願いがある。
だが、それは今のクロが消滅してしまう事を意味する。
それが俺の悩みでもある。
クロは明るく一緒にいて楽しい。
でも好きという気持ちは別だ。
だからこそ俺には、どうしようもできない。
「どうしたのアカ?」
「いやっなんでもない行こうか!」
「うっ、うん」
公園で練習をし帰宅する。
それが続いて、いよいよ創作ダンスの発表会が行われる。
1組3分という短い時間だ。
大勢でダンスをするグループもいれば俺達みたいに二人の人達もいる。
クジの結果、俺達は最後になってしまった。
「アカぁー、クジ運悪すぎっ。あたしが引けばよかった」
「悪かったな!」
皆がダンスをする中、緊張しているクロがいる。こういう場合は危険な場合が多い。
「クロっ大丈夫か?」
「うっうん大丈夫。それより凄いねアカリちゃん達!」
アカリちゃんとはクロが良く話す女友達である。
名前は須藤朱莉。クラスの中でカースト上位の女子高生だ。俺やクロとは違い華やかさがある。そんな彼女はクラスの女子二人を従え中央でダンスを披露していた。まるで自分がお姫様のような立ち位置で優雅に踊る様は見ている誰もが心を奪われた。それほどまでに彼女達のダンスは完璧であった。
「これはアカリ達がトップだな!」
「うぅーあんなの見せられたら後で踊るあたし達が恥ずかしいじゃん」
クロはアカリのダンスに魅力されながらも悔しい表情だ。そのおかげかクロの緊張は和らいでいるように思えた。
「まぁー気楽にいこうぜ」
「うっ、うん」
アカリ達のダンスが終わる。
まさに彼女は、お姫様であった。
「では12番、前にでて!」
先生がクジの番号を言う中、アカリがクロの隣に座る。
「雪!どうだった?」
「うん最高に良かったよ。あたし自信なくなっちゃったよ」
「えへへっ照れるじゃない雪!!雪が私のお誘い蹴ってまで赤井君とダンスするって言ったから負けられないと思って本気出しちゃった!」
「うーん失敗だったかな?」
「でも赤井君とダンスできて良かったね。好きなんでしょ?」
「ちょ、ちょっとアカリ」
「大丈夫、大丈夫!赤井君には聞こえてないみたいよ」
「もうっ、そんなんじゃないっばぁー!!」
「あっはは、赤くなってるぅー」
「うぅーいじわるぅ!」
「さて、それじゃあ雪達のダンス楽しみにしてるね」
クロとアカリがキャッキャッと話をしている間に俺達の番が近づいてきた。
俺も緊張していた。クロと一緒に練習してきたが彼女と皆の前で踊るとなると少し恥ずかしい。仮にもクロ自身は俺の好きな相手、雪(シロ)である。
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