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勉強会
「なぁーなんで、こいつがいるんだ?」
「それはクロに聞いてくれ!!」
今、俺の狭い部屋の机に教科書とノートを広げている俺とアオ、クロ、それにクラスのお姫様アカリがいる。
雪が病院で診察を受けてから、しばらく経つ。
すでに雪はシロではなくクロに戻っていた。
今はテスト前で俺達仲良し三人組は俺の部屋で勉強していたのだが突然クロのスマホが鳴り、クラスのお姫様が俺の家に上がりこんだのだ。
「なぁーお前、邪魔だよ」
「はっ!あんたの方が邪魔なんですけど」
アオとアカリは犬猿の仲だ。
だがクロを挟んで互いに距離を保っている。
それなのに今日は何故か俺の部屋が戦場へと変わろうとしていた。
アカリは今、私服を着ている。
薄手のカーディアンに白のインナー、短いスカートを履き、今にも見えそうだ。髪を結い、いつもサラサラヘアーと違い可愛らしい。
ぷるりとした唇に整った鼻筋、そしてメイクをバッチリ決めているアカリは本当にお姫様みたいだ。
対するクロは、よれたTシャツにダボダボのデニムパンツ。髪だけは綺麗にしてあるが肌に輝きがない。
そんな対称的な二人だが気が良く合う。
クロがシロになった時もアカリは普通に話していた。
といってもクロがシロに戻るのは稀である。
以前、雪がシロの状態の時、アカリから電話がきたといって大騒ぎしたのを覚えている。
そんな二人はとても仲が良い。
それを快く思ってない心の狭いアオだがアカリが俺の部屋にきても追い返そうとはしなかった。
なんだかんだで、この二人も実は仲が良いのではと思う。
俺がニコニコとアオとアカリのやり取りを見ているとクロが軽蔑した目で俺を見る。
「このスケベ!!」
「何言ってんだよ。別に何も見てねぇーじゃん。ちょっと目線がいっただけだろっ!」
「あぁーやっぱり!?ねぇーアカリちゃん気をつけて、この男スケベだから。アカリちゃんの可愛さに見とれてるよ」
「だから見てねぇーて!!俺はアオとアカリが仲良いなぁーって思ってただけだ」
「いやアカ、何言ってんだ?こいつは俺の敵だぜ」
「そうよそうよ。私が、こんなのと仲良い訳ないじゃない!!」
俺のその一言でまたもや激しく睨み合う二人。
そんな状態でクロは笑っていた。
「あぁー面白いっ。さっゲームでもしよ」
いつのまにか俺の部屋にあるテレビをつけゲーム機を起動させるクロ。
「おいっおいっ勉強は?」
「もうちょっと後で!!」
「おいっおいっ、頼むから静かに勉強させてくれよ」
睨み合う二人とマイペースなクロ。
そんな三人に翻弄され俺は頭を悩ますのだった。
そんな状態が続いたが勉強も一応した。
気がついた時には既に夕方になっていた。
あれからクロは俺のゲームで遊ぶも、飽きたのか素直に勉強をする。
これでもクロは、やればできる子である。
そんなクロを見てかアオとアカリも勉強を始めてくれた。
「もうそろそろ終わりにするか?」
まだ空は明るいが時間も時間である。
「そうね。雪もしっかり勉強したみたいだし、これで補習は免れ夏休みは遊べそうね」
「うんっアカリちゃんと遊ぶ為に頑張ったよ。いっぱい遊ぶんだ!」
「ふっふ、それはテストで結果をだしてからね。それより…」
ヒソヒソとアカリはクロに耳打ちした。
「ちょっ、聞こえるって!」
「もぉーそれじゃあダメだよ雪」
「いいのいいの。それよりアカリちゃんこそ…」
「私はいいの。さっ、じゃあ私は帰るね」
「うんっ」
「じゃあ俺も…」
「じゃあ、あたしも帰るよ」
勉強道具をしまい部屋からでるアオ達。
そんなアオとアカリを玄関から出て見送る俺とクロ。
二人は帰る方向が同じであり並んで歩いているようにも思えた。
「バイバァーイ!」
クロが手を大きく振り二人を見送る。
「じゃあクロ明日な」
俺は二人を見送り玄関の中へ入る。
「うん、また明日!」
そう言いクロも隣の自分の家へと入るのであった。
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