カラオケ

1/1
前へ
/15ページ
次へ

カラオケ

つい最近できた学校と家の間にある「カラオケエリア」という名前の建物に入り2時間、個室を借りる。 男二人に女一人だが、いつもの事なので別に緊張などしない。 先にアオとクロが個室に入り、俺はというと二人の為に個室に近い場所にあるドリンクバーにてコップにジュースを入れる。 どうせならクロのジュースをミックスさせてやろうと適当にボタンを押しクロ達がいる部屋へと入った。 すでに二人は選曲し終えたようでアオが歌っている。バラードの曲を渋い声で歌い、クロはその曲に合わせるようにタンバリンを振っていた。 「はいよっクロ!」 「あっ、ありがとうアカ」 持ってたジュースをクロに手渡し、それをクロが飲む。 「ぶっへっ、なにこれ!?」 「特性ミックスジュースさ」 「ひっひどぉーい。そんな事するなんて信じられない!あたしが倒れたらどうするのよっ!」 確かにクロが倒れたら申し訳ない。 でも、こういう場は楽しまないと損である。 「分かった分かった。罰を受けよう」 「言ったなぁっ!ならアカには恥ずかしい曲、歌ってもらうんだから…」 そう言うとクロはタッチパネルを操作する。 「おいっおい、何を選曲したんだ?」 「それは曲が流れてからのお楽しみ♪」 笑顔のクロは楽しそうだ。 そうしている間にアオが歌い終わった。 「おいっ俺の歌聞いてたか?」 「すまんアオ。聞いてなかった…」 「まぁー楽しく歌えたから良いけどよ」 次の曲が流れる。懐かしいアニメの曲だ。 「あっあたしの番だ。二人とも準備して」 「おぅ」 「あぁー」 俺はマラカスを。 アオはタンバリンを持ちクロが歌う中、激しく振る。 クロは勉強はアレだけど歌は上手い。 雪(シロ)も上手いから当然と言えば当然である。 彼女の歌声は良く透き通り、これがアニメの歌とは思えない程に心地よかった。 このアニメの曲は、元々が主人公がヒロインに愛を捧げる歌であり感情が高まる。 小学生の時に聞いたアニメのオープニング曲は高校生になってから聞くと、また違った意味で素晴らしかった。 「君を愛してるぅ~~~」 最後は三人でハモり曲は終わった。 次の曲はクロが選曲した曲だ。 どんな罰の歌と思ったら、その曲は俺の十八番であった。 「おいっクロ!?」 「ふっふっ…あたし、その歌が好きなの。だから聞かせて」 「分かった。歌うから、ちゃんと聞いろよ」 「うん」 俺が歌っている間、クロとアオは静かに歌声に耳を貸す。歌い終わる頃にはクロとアオは感動していた。 「さっすがアカ!!」 「やはりアカには才能があるな。じんわりと心に響いたよ」 「そうか?」 「うん。アカの歌は人の心に届くものがあるよ。いっそ歌手になったら?そしたら、あたしがファン1号になるよっ!」 「世の中には、もっと歌が上手いやつがいるさ。それに、それだったらクロもいけるな!」 「それじゃあ二人でデビューしちゃう?」 「おい!俺は…?」 「あぁーアカは、ギターなんてどうかな?」 クロが言うとアオは呆れていた。 「俺に言うか、それ?」 そうアオの弱点は音楽系全般が苦手である。 そうこう楽しく歌い、会話している間にあっという間に2時間が経った。 「さてと、それじゃあ家に帰るか!」 「だなっ!」 「あぁースッキリした。また行こうね」 俺達三人は「カラオケエリア」をでて家路へと向かう。 その帰り道であった。 クロが倒れた。 まさか特性ジュースのせいか? そんな事を思いがよぎるが冗談を言ってられない。 「アオ、いつもの発作だ。俺が責任持って病院連れてく」 「大丈夫か?」 「あぁーしばらく病院のベッドで横にしとけば大丈夫だ!」 「分かった。俺はクロの家に電話しとくよ」 「ありがとうアオ」 「クロの事頼んだからな!!」 「任せろ!」 そうアオに告げ、俺は急いでクロを背中におぶさり病院へと連れていくのだった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加