7人が本棚に入れています
本棚に追加
引き抜きの厳命
三月十九日
今回建てかけの館の被害者は八人の死傷者だった。
この中には軽い火傷や傷の者は含まれておらず、正真正銘の戦力を削りながらの仕事だった。
闇の仕事とはいえ、彼等にとっては殉職。
その者達の家族にコウノトリは、影から日向から金を送った。
殉職者の中にはコウノトリの手駒が居たが、その者には家族が無かったので、代わりに墓を建てた。
重傷者の中にウズシオの一人がおり、彼は左腕を無くした。
もう剣もまともに扱えないし、ましてや弓など全く無理だった。
(月船が居たとは意外でしたが、城付きが居る可能性としては範疇ではありました。しかし…痛い)
元は名将と唱われた実秋であるし、今でも城への影響力は大きかったから、この位の犠牲はコウノトリの中では計算内とも言えた。
アフターフォローに駆け回るコウノトリの元に、頭から御呼びが掛かった。
年に一度有るか無いかの頻度で来る、引き抜きの話だった。
始めに話題として名が上がったのは、月船を仕留めたフクロウだった。
しかし頭は強くは欲しがらなかった。
(当然でしょう。フクロウさんは諸刃の剣ですから)
コウノトリもやんわりとした姿勢で、話題を流した。
(暴れ馬…馴らしてみせましょう)
最初のコメントを投稿しよう!