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建てかけの館、プロローグ
二月二十六日
大きな仕事が来た。
小高い丘にある、通称建てかけの館に住む古将、望月実秋の殺害だ。
コウノトリは任を預かり、館の見取り図と周辺の地図を並べ、見入っている。
(門は東西南北に四つ。東に馬小屋、北に小川、西が崖、南に街か…。しかし広い館ですね。住み込みの人数もまずまず居ますし…)
門にそれぞれ人員を送り、館内に遊撃隊を送るには、相当な人数に成りそうだった。
コウノトリの扱う人員に雁部隊という十三人編成の部隊があったが、足りそうに無かった。
(兵は無駄に使いたく無いですね。しかし兵数を抑えたとしても、どの道増員・再編成は必至か…。塀が強固で高く、傘が広い事が救いです)
コウノトリは見取り図の真ん中を中指で弾き、シロを呼んだ。
シロは傍に来て跪いた。
コウノトリは指示を出す。
「アカメさんにトビウオ殿とコバンザメ殿を、三月三日の夜にお借りしたいと、頼んで来て下さい」
シロは返事をして退室した。
コウノトリはクロを呼んだ。
クロは傍に来て跪いた。
コウノトリは指示を出す。
「放射機を四つと樽八杯の油を用意して下さい。それを手配後建てかけの館の西側の崖を、びっちり調べ上げて下さい」
クロは返事をして退室した。
コウノトリはキリリと眉を上げ、見取り図に目を戻した。
(いぶり出して、必ず仕留めます)
そうして拳を作り、見取り図の真ん中を二度ノックした。
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