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前触れ
俺は今上帝と月夜の更衣との間に生まれた皇子で、母が三歳で亡くなった後、実家の後援がないことと俺が帝位につけば国は乱れると高麗人に予言されたこともあり、臣籍降下させられ、幼い頃からどこか寂しく哀しい気持ちを抱いて、生きてきた。
「光る君──」
幼少の頃はそう呼ばれ、それなりに幸せで輝かしい日々も送っていたが、十五歳の春、父である帝と久しぶりに対面してから、人生が一転したのだ。
そんな俺の過去の話を、お前にしてもいいか……恐れずに聞いてくれるか。
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三歳で母を亡くした息子。
お前はまだ知らぬ。お前は……本当は私の血を分けた実の息子ではないのだ。月夜の更衣に惚れ込み無理やり奪ってきた時には、彼女の腹にはすでに赤子が宿っていた。
帝の特権ですべてを捻じ伏せたが、もう産まなくてはならない時期が来ていた。その後、お前を出産したが……体調を崩した月夜の更衣はわずか三年で、この世を去ってしまった。
母親似のお前の顔を見るのも恨めしく長年実家に預けていたが、月夜の更衣の母君も亡くなられ、久方ぶりに対面することになった。
一体どのように成長したのか。
母親の面影を色濃く残したと噂されるお前との対面が、待ち遠しい。
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